ニホンウナギの資源研究
箱山 洋ニホンウナギは、2013年には環境省が絶滅危惧IB類に、2014年にはIUCNが絶滅危惧IB類に指定するなど絶滅の懸念が示されている。近年のニホンウナギの漁獲量減少は国際的な問題であり、IUCNレッドリストの見直し、CITESでの検討、水産庁が進める国内管理施策や国際的な資源管理体制の構築(ウナギの国際的資源保護・管理に係る非公式協議)など様々な行政問題への研究貢献が求められている。平成31年度の都道府県知事への水産庁の通達では、内水面だけでなく海面でのウナギを採捕する漁業者を含めた全てが資源管理に関わる体制を作っていく必要があるとし、シラスウナギ採捕を知事許可漁業とし罰則強化を図ることを推奨するなど、漁業管理への取り組みが高まりつつある。以上の背景から、水産庁では水産資源調査・評価推進事業に新たにウナギユニットを設立し、長野大学が中核機関となりJV・協力機関合わせて35機関からなる研究組織で事業に取り組んでいる。講演では、事業の概要をお話しするとともに、絶滅危惧種がどのように決まるのかを分かりやすく解説し、生物保全、漁業管理における有効性と限界について説明したい。
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