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日本生態学会大会 メタ個体群の絶滅

箱山 洋

空間的な構造が絶滅に与える影響は保全生態学において重要な問題である。保護区を設定する時に、大きな単一の保護区と、いくつかの小さな保護区のどちらがいいのかについては1970年代から議論されてきた(SLOSS, Single Large Or Several Small)。メタ個体群の絶滅の観点からSLOSS問題を考える場合、全体の絶滅リスクは、それぞれの保護区における局所的な絶滅のリスクや、保護区間の環境相関・移動率の影響を受ける。保護区全体の面積Aが一定という制約のもとでは、ある保護区のサイズを大きくすれば局所的な絶滅のリスクは減少するが、制約として保護区の数は減らさなければならないので、全体の絶滅リスクは必ずしも減少しないかもしれない。本講演では、地域集団のダイナミクスを確率微分方程式の確率過程モデルとして導くことから始めて、地域集団間の移動、地域集団間の環境相関を考慮したメタ個体群モデルに拡張し、最善の保護区分割について議論する。 棲息地の分割を考えるときに最も大切な要素は個体群変動の変動係数であることが今回あきらかになった。個体群変動の大きさに応じて、最善の棲息地分割は大きく影響を受ける。最も単純な場合として、それぞれの保護区の環境変動の相関が0で移動もない場合、従来までの研究では小さな保護区を多く設定したほうが、絶滅リスクが小さいと言われていた。しかしながら、現実的な個体群変動の変動係数においては、単一の大きな保護区において絶滅リスクが小さいことを示すことができる。さらに、現実的な場合として、保護区の間で環境に違いがある場合や、保護区間に移動がある場合について、その影響を議論する。

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